夏のお楽しみ、人を恐怖に陥れるお仕事をまたまたしてまいりました
今回もどれだけの人々の腰を抜くことができるか、真剣勝負に挑む剣士の心持ちで現場に向かいます
ひとり、ふたりと腰を抜かしていき、ウハウハで驚かし続けていますと、今宵の被害者たちの方がたも、
「このお化けイケメーン!!」とか
「無駄にイケメン!!」とか
「お兄さん、イケメンっすね!!」とかいった類の評価を大声で叫び、膝をカクカクさせながら走り去っていきます
しかも何故かはわかりませんが、前回よりもイケメンと呼ばれる率高し
5組中2、3組はボクのことをイケメン呼ばわりです
(’10-8/6「造作が同様の方がた」参照願います)
ボクは(ホント自分で言うのはなんなのですが)割とイケメンですので、イケメンだなあと思われている(であろう)視線は幼いころから浴びなれてはおります
しかし、面と向かって「あなたイケメン」と評されることはそうそうないことなので、これはもう「どっきりか?!」レベルです
あまりにイケメンイケメン叫ばれるものですから、意識するあまり、休憩時間に楽屋の鏡前で化粧直しをする際、こっそりちょっとさらにいい男に見えるように目張りなぞをいれたりなんかしたりして・・・
さっそく来たお客さまに対し、キメ顔を少々長めに明かりの中に残し顔の印象が残存するようにしました
と、彼らは「イケメン!!」と叫ばず、且つあまり腰砕けにもならずに次なる仕掛けへと立ち去って行きます
あれ?反応鈍いなあ・・と思いつつ、ほどなく来た次のお客さまにも同様に思いっきり「いい顔でしょッ!!」って感じで登場します
と、「うわ・びっくりした・・」と冷静に彼らの状態を口にしたって感じの感想
・・・おかしい
あれだけイケメン呼ばわりをされつつ腰を抜いてきたのにも関わらず急にきびすを返したようなお客さまの態度
恋愛相手に急に心変わりをされたときのようです(あまり経験はありませんが恐らく)
その後もどれだけいい顔で出ても、前半のような反応はありませんでした
若干凹みながら再度楽屋に戻りますと、ちょうどプロデューサーがいらしてボクの顔を見て、「スズキくん、なんだか・・顔・・・やり直して」とNGを出しました
改めて鏡を見ますと、なんだか宝塚の男役が亡霊の役をやるかのような顔になっています
・・確かにこれは、・・・変
しかも冷静になって考えてみますと、ボクは本来の目的である人を怖がらせるという使命をすっかり忘れてしまっていた
そりゃお客さま、驚かないはずです
本来のメイクにフィックスし、再度現場に立ちますと、また徐々に本来の反応が戻ってきました
が、
一度「イケメン」と叫ばれる快感を覚えてしまった身といたしまして、意識しまいと思っても、「ボクってイケメンでしょ?」という気持ちはどうしてもぬぐいきる事はできませんでした
もちろん、そんなことを期待している人に対して、人はよほどの悪意をもっていないと呼ばれたいと思っているであろう呼称では呼びません(アタシ美人でしょ?美人って言って!と思っている人に、「あなた美人ですね」とは言いたくないもの)
また、ボクの演技力を以ってしてもそう思っているであろうことを完全に顔面から消し去ることはできなかったのでしょう、その後終了までの1時間弱、お客さまの腰を抜くことはできましたが「イケメン!」と叫ばれることはありませんでした
いつの日か、それでもシラリと「イケメン」と呼ばれるようなポーカーフェイスを身に付けたいと思います
ちなみに本日のパシャリ
驚かしが成功したときのドヤ顔に「イケメンって言って!」という要素を加味してみました