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貢也大全


鈴木コウヤの取扱説明書
by koyasuzuki
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ゴホゴホ、クチャクチャ

乾電池時代の大先輩、広岡由里子さんの出演されている舞台「やけたトタン屋根の上の猫」を観に行ってきました

ゴホゴホ、クチャクチャ_b0164697_4155327.jpg



久しぶりにナマ広岡さんに会えると、喜び勇んで新国立劇場に入ったのですが、なんだか、会場の様子に違和感を感じます




まず、変わった匂いがいたします
プラス、いつも観ている芝居よりも観客の年齢層が高い
明治座とか演舞場に見られるおばさま中心の観客層とも違う、男性比率の高さです



あ、ということは、この匂いは、壮年男性が発するホルモン臭・・・か?
・・ちょっと微妙な気分になってまいります
ヒロインの寺島しのぶさん狙いなのでしょうか
そしてその男性連中、ゴホゴホ咳払いをしたり、歯に詰まった食べ物カスをとっているのかシーシーしてたりして、非常に騒がしい
まるで、地方の温泉施設の無料休憩所に集う人々のようです



さすがに開演したら静まるだろうと思い開演を待っておりますと、おもむろに舞台前に立った会場案内係の女性が、恐らく観客全員に届かないであろう声の大きさで、「・・お客さまに・・携帯電話・・アラーム・・お切り・・」という例のアナウンス(全部は聞き取れませんでしたが状況から推理いたしますとおそらく)をします
マイク使えばいいのに・・・と思っている中、静かに開幕します




冒頭に、木場勝己さん演じます65歳のおじいさんが、もうすぐ死ぬというエピソードがあるのですが、会場に満ち満ちている匂いが実に良いエッセンスになっていて、また更に微妙な心持ちになりました




今回の舞台は、奥から手前に向かって下がる傾斜が付けられており、演じている役者さんはとてもアクティングしづらそうでしたが、それが主人公がアルコールに嵌っていく様を表現しているようでオツ
そこを広岡さん演ずる主人公の兄嫁が意地悪く駆け回ります
その滑稽さを表す演技が実に狡猾で、いつもながら素晴らしいなあと感嘆いたします
よくそこまで飄々とシラリ演じることができるものだ、と思う
ああいう役者になりたいなあ、と憧れて早16年・・
まだ道のりは遠く果てしないです











さて、会場を埋め尽くす男性連中ですが、その騒がしさは芝居が佳境を迎えてもまったく収まる気配はありません
いくら「あれ?咳されてますけど大丈夫ですか?」という体で振り返って、ひと際気になるすぐ右後ろの方を睨みますがまったく効果なし
会場の乾燥具合からそのゴホゴホ率は逆に高まっています
また左後ろには口をクチャクチャしている男性、始めは歯間にニラでも挟まっているのか?と思っていたのですが、どうやら入れ歯がしっくりはまっていないのか、おそらくそれでクチャクチャしていたのです
どうりでよく聞くと小さく「カッパカパ」というサウンドも入っています
昔、「元気が出るテレビ」に出ていた、すぐ入れ歯が外れるおじいさんが発していた音と同一のものです



ああ、何でまたボクのすぐ右後ろと左後ろに陣取るか!







変な擬音と匂いにまみれて、現代アメリカ文学を代表する本作は大団円を迎えました
カーテンコールで、寺島さんが客席に向かって、何と投げキッスをし、ああ、素晴らしいプロ根性だなあ、と思ったのですが、終演後広岡さんの楽屋に挨拶に伺ったとき、フランス人のご主人と一緒にいらっしゃる姿を目撃
おっさんたち宛てでは無かったのだと、自分の中の何かが少しすっきりしたのですが、会場にいらした寺島さんファンの方々には、本当にご馳走さまな夜であったことだろうと思ったのでした







ちなみに、今回同行いたしました乾電池で同期で現在は切り絵作家をしておりますボクと同い年の青柳が、「40になったら初老なんだってよ」とちょっとショックな情報を教えてくれました
・・どうやら、会場の雰囲気作りにボクも一役買っていたらしい・・・



ゴホゴホ、クチャクチャ_b0164697_947862.jpg


この辺りから出ているらしいです
by koyasuzuki | 2010-11-11 04:14 | 舞台/ライブ
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